和包丁の選び方

本焼と霞の決定的な違いと正しい選び方【和包丁の選び方】

和包丁を購入する際に、『本焼(ほんやき)』と『霞(かすみ)』という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。

一般的に『本焼の方が高価』だという印象で、それぞれの違い、メリットやデメリットを完全に把握した上でご自身に合った正しい和包丁の選択ができている方はあまり多くないと思います。

特に、本焼に関しては知っておかなければせっかく購入したのに買い直しが必要だと感じてしまうほどの失敗を招く恐れがあります。

もちろん、買い直しの必要性を感じるのは使用後になるので、返品して全額返金といった救済をしてくれる販売店はおそらくないでしょう。

そのような失敗をしなくて済むように、本焼包丁と包丁の最大の違いとそれぞれのメリット、デメリットをお伝えしていきます。

本焼の和包丁の特徴と正しい選び方

本焼とは、無垢の鋼のみを使用して製作された包丁となります。
たとえば、鋼が白2鋼であれば、白2鋼のみを鍛造して作られることになります。

わかりやすいように先に少し触れておきますが、本焼包丁に対して霞包丁は鋼の表側に軟鉄等の鋼とは異素材の金属を張り合わせて鍛造されたものとなります。

純粋な鋼のみで作られた本焼包丁の最大の特徴はその硬度にあると言えます。
鍛えられた無垢の鋼のみが使用されるので、刃全体が高い硬度を帯びており、鋭い切れ味と長い刃持ちが実現されます。
(鋼材の持つ特性を100%活かせる製作方法といった方が正確ですが霞包丁よりは)
ただ、その刃の硬さは料理人にとっては不利に働く側面もあわせ持ちます。

まず、硬い包丁は研ぐのが大変です。
ある程度熟練した研ぎの技術と相応の砥石がないと本焼の包丁を研ぐのは至難の業かと思われます。

もちろん、硬いので使い方によっては刃こぼれを起こしやすかったり、取扱を誤ると折れてしまうこともあります。

また、用途によっても本焼の特徴が活かされるものと、本焼の特徴がまったく活かされないどころか、むしろ殺してしまう用途もあります。

本焼包丁を選ぶ基準としては、その特徴を把握した上で、ご自身の使用環境とスキルに合わせることと、加えて用途に合わせた選び方ができることが理想と言えます。

以上が、本焼の基本的なスペック面での特徴です。

そして、ここからが一般的にあまり認識されることのない本焼に関しての重要なポイントとなります。

本焼和包丁の隠された重大要素

通常の定義通りの本焼包丁であれば、上記のポイントだけ押さえて購入を判断すれば良いのですが、本焼特有の『ある性質』によって定石通りに本焼の和包丁を選択してしまうとかなりの高確率で後悔だけでは済まされない大きな失敗が発生してしまいます。

『本焼特有のある性質』、それは先ほどお伝えした通り、無垢の鋼のみを使用することによる『硬度』にあります。

硬度の高い包丁はそれを使用する料理人にとって研ぎをはじめ、全体的に使用の難易度が高いことは先ほどお伝えしましたが、これは料理人だけでなく、包丁を製作する職人にも同じことが言えるのです。

無垢の鋼を使用した包丁は製造難易度も群を抜いて高いのです。

特に高級な鋼になればなるほどそれを完成度の高い本焼き和包丁にまで仕上げるためには人生の内で相当な時間を和包丁の製作に捧げた職人以外では不可能なことなのです。

本焼和包丁はそれを作り上げる職人の腕によって国宝レベルの超一級品の和包丁にもなれば、家庭用の方がまだマシかと思えるくらいの粗悪品に成り下がることもあり得る代物なのです。
(そもそもそのような粗悪品は本焼云々という以前の問題です)

まるよし刃物がご提供しております本焼和包丁は鍛造のみならず、研ぎや仕上げにも大阪堺の超一級の技術を持つ熟練した職人によって製作しております。

加えて、業界屈指の充実したアフターフォローを備えておりますので高価な本焼和包丁でも安心して手にして頂けると自負しております。

続いて霞包丁の特徴についてです。

霞和包丁の特徴と正しい選び方

霞包丁は先ほどお伝えした通り、刃の裏側に鋼を使用し、表には軟鉄等、異素材の金属を張り合わせて作られたものです。

メリットとしては、表が軟鉄などの鋼と比較すると硬度が低い金属なので研ぎやすく、扱いが非常に楽な点にあります。

そして、無垢の鋼のみを使用した本焼包丁よりもかなり安価であることが最大のメリットかと思います。

当店で提供させて頂いております堺火造り本霞包丁は本焼包丁のおよそ3分の1程度の金額になります。

デメリットとしては、研ぎやすい分、耐摩耗性には優れていないため、切れ味の持続性には多少難があります。

加えて、裏の鋼の面と表の金属面で硬度や伸縮率が異なるため、柔らかい部分(表)に向かって反りや歪みが発生する可能性も高いという問題もあります。

職人の腕次第では鋼と貼り合わせた金属の融合がうまくいかず、この“反り”や“歪み”が発生してしまいます。

霞包丁が抱える“反り”の問題に悩まされた料理人の方も多いかと思います。

しかし、当社がご提供しております“堺火造り本霞和包丁”は霞包丁の起源とされる大阪堺の600年以上進化を続けてきたノウハウと代々継承を繰り返し研鑽されてきた本物の技術によって生み出されています。

本物の技術によって生み出された本物の霞包丁である“堺火造り本霞和包丁”は“反り”や“歪み”の発生も極限まで抑えることに成功しております。

世に蔓延る二番煎じの形だけの霞包丁とは正直次元が異なるかと思います。

包丁の反りや歪みの課題を克服した霞包丁であれば、扱いやすく、鋼の切れ味も十分に発揮されるため、プロの世界に入門したての方をはじめ、多くの料理人の方にお勧めできます。

もちろん、使用環境等によっては本焼よりも霞の方がメリットが多い場合もあると思います。

値段の面でも本焼きよりもかなりリーズナブルなので、購入の決め手としては大きなメリットだと思います。

結局、本焼と霞だったらどっちの和包丁を選べば良いか

それぞれの特徴、メリットとデメリットをまとめておきますので、参考にして頂き最良の選択をして頂ければと思います。

本焼のメリット
・高い硬度を有し、鋭い切れ味が実現される
・和食の料理人としてやはり『本焼』は特別なものがある

本焼のデメリット
・高い硬度が災いして研ぎが大変、使い方によっては刃が欠けたり折れることもある
・熟練の職人が製造したもの以外は、ただのナマクラとなる

霞のメリット
・表に軟鉄など鋼と異なる性質の金属が張り合わせてあるので研ぎやすく扱いやすい
・本焼よりもリーズナブル

霞のデメリット
・表と裏で金属の硬度や伸縮率が異なるので反りや歪みが発生することがある
・貼り合わせてある金属が軟鉄の場合が多いので錆びやすい(本焼でもステンレス鋼以外は錆びやすい)

和包丁の鋼材の選び方

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